もう写真のノイズは怖くない、どこまで感度(ISO)を上げられるか調べてみた
こんにちは、たかぴ(@takapyx)です。
検証系の記事は楽しいんですが、作るのが大変で昨日はブログ更新出来ませんでした・・・。
さて、今回は写真の感度(ISO)について、ちょっと考えてみました。
薄暗いところで写真撮影をする時、感度を高めに設定すればシャッタースピードを速く出来るため、とても便利です。 三脚が使えないシチュエーションで手ぶれを起こさずに撮るためには必須の機能ですよね。
とはいえ、感度を上げすぎると写真がザラザラとしたノイズだらけになってしまうため、出来るだけ低感度で撮影したいのが本音です。
また、もしノイズが発生しても現像ソフトのノイズ除去機能で軽減する事が出来ますが、作業工数が増えるのに加え、ノイズと一緒に写真のディティールが失われる副作用もあるため、出来るだけ使わずにすませたいところです。
感度(ISO) | 低い | 高い |
---|---|---|
暗所撮影 | 難しい | 簡単 |
ノイズ | 少ない | 多い |
ノイズ除去 | 不要 | 必要 |
ディティール | 保持 | 欠損 |
そこで今回は、感度だけ変更しながら同じ写真を撮影し、ノイズ除去無しでも耐えられる、感度の限界値はどの程度なのかについて考えてみることにしました。
※今回のエントリは写真を等倍で見ないと分かりにくいため、レイアウトが横に広くなってしまっています。 また、スマホ等で確認するとノイズの乗り方が分かりにくくなりますので、出来るだけ、PC等の等倍で見られる環境で見て頂いた方が分かりやすいと思います。
※2015.05.06 追記①
評価が冗長になりすぎましたので、下に確認結果のまとめを抜粋しました。
詳細な評価は下部に記載していますので、興味があればご確認下さい。
※2015.05.06 追記②
エントリ作成時とは別のディスプレイで評価写真を見たところ、ISO100とISO200以上でノイズの程度に差があるのが見えましたので、まとめの表の書き方を修正しました。
今回の評価だけでは、折角の高感度を活かすことが出来ないので、近いうちに、ノイズ除去についても検証してみたいと思います。
ノイズ除去 | 800x534px (ブログ用) |
1750x1168px (L版印刷用) |
4096x2734px (iPad用) |
6016x4016px (等倍) |
---|---|---|---|---|
ISO50 | 不要 | 不要 | 不要 | 不要 |
ISO100 | 不要 | 不要 | 不要 | 不要 |
ISO200 | 不要 | 不要 | 不要 | 不要 |
ISO400 | 不要 | 不要 | 不要 | 不要 |
ISO800 | 不要 | 不要 | 不要 | ギリギリ不要 |
ISO1600 | 不要 | 不要 | ギリギリ不要 | 必要 |
ISO3200 | 不要 | 不要 | 必要 | 必要 |
ISO6400 | 不要 | ギリギリ不要 | 必要 | 必要 |
ISO12800 | ギリギリ不要 | 必要 | 必要 | 必要 |
ISO25600 | 必要 | 必要 | 必要 | 必要 |
ISO51200 | 必要 | 必要 | 必要 | 必要 |
1. 評価条件
カメラ
いつもの様に、Nikon D750を使用しています。尚、カメラの好感度性能はセンサーサイズやカメラ(画像エンジン)によって差があります。D750以外のカメラを使用している方はその点を考慮してご覧頂けると有り難いです。
高感度性能 | 高い | 低い |
---|---|---|
センサーサイズ | 大 | 小 |
画像エンジン | 新しい | 古い |
ノイズ | 少 | 多 |
D750はセンサーサイズがフルサイズでAPS-Cやマイクロフォーサーズ規格より大きく、画像エンジンも新しいため、高感度ノイズは発生しにくいカメラだと思います。
レンズ
Nikonの105mm マイクロレンズ、AF-S VR Micro-Nikkor 105mm f/2.8G IF-EDを使用しました。 レンズの詳細は、先日のエントリをご確認下さい。
撮影方法
夜中に外で延々とフィギュア撮影をしている姿を見られるのは流石にマズイかもと思いましたので、今回は自室撮影です。
カメラ後方45°あたりの位置に昼白色のスタンドライトを置いてメイン光源としました。
三脚でカメラを固定し、机の上に置いたダンボーを次の様な構図で撮影しています。
撮影条件
①マニュアルモードを使用し、露出の測定はカメラ内露光計を使用しました。
②評価項目の感度は、ISO50からISO51200まで、1段ずつ調整し、比較写真を撮影しました。 露出については絞りをf/5.6に固定し、シャッタースピードで適正露出に調整しています。
現像条件
①Lightroom CCで現像を行いました。
②レンズ補正有り、カメラキャリブレーションはCamera Standardを使用しました。
③下記4種類のサイズで現像、出力しています。
800x534px …ブログ掲載用
1750x1168px …L版印刷用
4096x2734px …iPad用
6016x4016px…等倍
現像後、ダンボーミニの顔周辺を300x300pxに切り出し、ノイズの比較検証を行いました。 (切り出し位置はどこでも良かったのですが、明るい部分もシャドウ部も比較できるため、この辺りを選んでみました。)
2. 評価結果
評価の結果、下記一覧で示す様なノイズ傾向になりました。
現像サイズ | 800x534px | 1750x1168px | 4096x2734px | 6016x4016px |
---|---|---|---|---|
ISO50 | ||||
ISO100 | ||||
ISO200 | ||||
ISO400 | ||||
ISO800 | ||||
ISO1600 | ||||
ISO3200 | ||||
ISO6400 | ||||
ISO12800 | ||||
ISO25600 | ||||
ISO51200 |
3. 評価結果からノイズ除去不要な感度の限界を考えてみる
上記の結果から、ノイズ除去無しで現像したときに、ノイズが気にならない感度の限界はいくつなのかを写真サイズ毎に検討してみました。
① ブログ用途なら、ISO12800まではノイズ除去不要
ブログ用に800x534pxで現像した場合、ISO6400まではノイズ未処理でも全く問題ないと感じました。 厳しめに確認すればISO3200とISO6400の間で若干の差異は感じられましたが、良く見比べなければ分からない程度です。 ISO12800では少しノイズが発生していますが、ほとんど不自然さは感じませんので、この辺りがノイズ除去をしないときの感度の限界かと思います。
ISO100(評価基準) | ISO3200 | ISO6400 | ISO12800 | ISO25600 | |
---|---|---|---|---|---|
ノイズ確認 | |||||
ノイズ除去 | 不要 | 不要 | 不要 | ギリギリ不要(ノイズ少) | 必要(ノイズ多) |
② L版印刷なら、ISO6400まではノイズ除去不要
次に、一般的に良く使われるL版サイズで印刷することを考えたケースです。 印刷用として、350dpi = 1750x1168pxで確認を行っています。
ディスプレイ上で確認した様子では、ISO3200まではノイズによる違和感はほとんど感じませんでした。ISO6400でもギリギリ大丈夫そうです。
僕はほとんど写真を印刷をする事がないため確かなことは言えませんが、この程度までであれば、ノイズ除去無しで印刷しても問題は無いのでは無いでしょうか?
ISO100(評価基準) | ISO1600 | ISO3200 | ISO6400 | ISO12800 | |
---|---|---|---|---|---|
ノイズ確認 | |||||
ノイズ除去 | 不要 | 不要 | 不要 | ギリギリ不要(ノイズ少) | 必要(ノイズ多) |
③ iPad用ならノイズ除去不要な感度の限界はISO1600。ただし、実際にiPad上で見るとISO6400まで問題無し。
iPadに写真を取り込むときは、写真を拡大する事も考えて、画面長辺解像度(2048px)の2倍の解像度(4096px)を基準に現像しています。
この場合は、PCディスプレイ上でドットバイドットで確認すると、ノイズ除去不要な感度の限界はISO1600でした。
ISO100(評価基準) | ISO400 | ISO800 | ISO1600 | ISO3200 | |
---|---|---|---|---|---|
ノイズ確認 | |||||
ノイズ除去 | 不要 | 不要 | 不要 | ギリギリ不要(ノイズ少) | 必要(ノイズ多) |
ただし、実際にiPad上で各感度の写真を見比べてみたところ、PCディスプレイ上での確認とは異なり、ISO6400位までは、ノイズ処理無しでも十分な品質が得られると感じました。
これは、iPadで見る場合は、写真のピクセルが圧縮されている(4096x2734pxの写真を2048x1536pxのディスプレイに表示している)ため、ノイズが目立たなくなったからかなーと想像しています。(技術的なことには疎いため、正確なところは分かりませんが・・・。)
まとめると、4096x2734pxの場合は、厳密に見ればISO1600まで、iPadで見ると割り切ればISO6400位まではノイズ処理無しで使える写真が撮れそうです。
④ 等倍なら、ISO800まではノイズ除去不要
等倍サイズに現像して確認をしてみたところ、ISO800までは目立つノイズが発生しませんでした。 ISO1600ではノイズが少し大きくなり始めていましたので、ISO800までがギリギリ、ノイズ除去無しで現像出来るボーダーラインだと思います。
ISO100(評価基準) | ISO200 | ISO400 | ISO800 | ISO1600 | |
---|---|---|---|---|---|
ノイズ確認 | |||||
ノイズ除去 | 不要 | 不要 | 不要 | ギリギリ不要(ノイズ少) | 必要(ノイズ多) |
4. 評価を振り返って
今回の評価の結論をまとめると、次の表の様になりました。
ノイズ除去 | 800x534px (ブログ用) |
1750x1168px (L版印刷用) |
4096x2734px (iPad用) |
6016x4016px (等倍) |
---|---|---|---|---|
ISO50 | 不要 | 不要 | 不要 | 不要 |
ISO100 | 不要 | 不要 | 不要 | 不要 |
ISO200 | 不要 | 不要 | 不要 | 不要 |
ISO400 | 不要 | 不要 | 不要 | 不要 |
ISO800 | 不要 | 不要 | 不要 | ギリギリ不要 |
ISO1600 | 不要 | 不要 | ギリギリ不要 | 必要 |
ISO3200 | 不要 | 不要 | 必要 | 必要 |
ISO6400 | 不要 | ギリギリ不要 | 必要 | 必要 |
ISO12800 | ギリギリ不要 | 必要 | 必要 | 必要 |
ISO25600 | 必要 | 必要 | 必要 | 必要 |
ISO51200 | 必要 | 必要 | 必要 | 必要 |
評価結果全体から考えると、僕の撮影/現像方針では、普段はISO800程度までを常用感度にしておいて、必要に応じて上表を参考に感度設定を行うのが良さそうだと考えています。
如何だったでしょうか?
今回の評価は完全に僕の目視試験ですので、人によっては、もっと感度の限界値は低いor高い方が良いという事もあると思います。 また、上で述べたとおり、カメラの機種やセンサーサイズによってもノイズの発生の仕方は変わってくるため、今回の評価結果はD750以外にはあまりアテにならないかもしれませんが、参考にして頂けると嬉しいです。
それでは、また!